衛星紹介シリーズ1:Sentinel(センチネル)
前回、「衛星画像ビジネスの幕開け」と題して、人工衛星の歴史をご紹介しました。今回からは数回にわたって、70年近くの歴史の中で、特にビジネス現場で活用されている衛星をピックアップしてご紹介します。
初回は、最もポピュラーなヨーロッパの衛星「Sentinel」です。SentinelにはSentinel-1A/BとSentinel-2A/Bがあり、それぞれ2機体制で2014年から運用が開始されました(現在、1Bは運用休止中)。1は陸地と海上を、2は陸上を主に観測しています。
Sentinel-1はSAR(サー)衛星で、合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar)を搭載した人工衛星です。電磁波(マイクロ波)を地表に向けて照射し、反射波を受信・解析することで地表の状態を映像化します。雲を透過して地上を観測できるため、雨雲の影響を受けません。
これに対してSentinel-2は光学衛星であり、雲がある箇所の観測はできなくなっています。ただ、搭載している波長数が多く、多様な解析が可能なこと、また光学衛星は解析の手間がSARよりも少ないことから、陸地の解析にはSentinel-2が多用されている印象です。
「Sentinel-2」は、1ピクセルあたり10mから60mの解像度を持つデータを提供し、地球上の細部まで詳細に観測することが可能です(下図、参照)。解像度は最近の衛星に比べるとやや粗いため、その分価格は安くなっています。
また、Sentinel-2の特定の波長における観測値を加工することで、下図のように地表植物の育ち具合を可視化することも可能です。北海道では、小麦の生育を監視し、刈り取り時期の判断に役立てています。
さらに、Sentinel-2は約5日に1回の頻度で全球を撮影しており、地表の変化を時系列で観測することが可能です。
色々とSentinel-2の特徴をご紹介しましたが、まとめると「5日に1回、地表を様々な角度から解析でき、しかも安い」ので、農業だけでなく気候変動の解析など、幅広い分野で活用されています。以上、Sentinel-2のご紹介でした。最後までご覧いただき、ありがとうございます!