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衛星紹介シリーズ2:Planet Scope(プラネット スコープ)

前回は最もポピュラーな人工衛星「Sentinel」について、特徴をご紹介しました。今回は、最近農業分野において注目を集めている衛星「Planet Scope」について書きたいと思います。

こちらの衛星は、2010年に元NASAの科学者チームによって設立された「Planet Labs .Inc(以下、Planet)」が運用しているものです。Planetは2023年3月時点で、65カ国に800以上の顧客を抱えるグローバル企業であり、3万人以上のユーザーのうち、大半を農家が占めています。

PlanetはスペースXの大型ロケットにて、小型で軽量な「Planet Scope」を多数打ち上げ、現在180機を運用しています。これにより、「毎日同じ場所を定時(午前10−11時)に観察できる体制を構築」しており、これが他社にはないPlanetの大きな強みです。

「Planet Scope」は解像度3.7mであり、前出のSentinel(10-60m)と比較して高い分解能を有しています。また、Sentinelは5日に1回の撮影頻度に対して、こちらは毎日撮影可能なため、Sentinelと比較して地表の変化をより早く精緻に捉えることが可能です。なお、Planet Scopeは2009年以降のデータをアーカイブしており、気候変動などの影響を長期にわたってモニタリングできる点も魅力の一つです。

弊社の畑周辺の画像(解像度3.7m)

さらに、Sentinelほどではないものの、低価格で地表のデータを収集することができます。このように、「高頻度、高解像度、低価格」を実現しているバランスの良い衛星であり、当社でもこちらを中心に技術検証を進めています。

また、Sentinelと同じく複数の波長による地表の観察が可能であり、地表の植物の生育状況を可視化できます。これを元に、高騰が続く肥料を効率的に使うなど、農業の現場では活用が進んでいます。

緑が濃いほど、植物の生育が活発であることを示しており、畑ごとに生育の違いが確認できる

また、Planetでは、解像度30−50cmの衛星も続々と打ち上げており、50cmになると、車種判別まで可能になるそうです。

解像度50cmのバージョン

以上、シリーズ2回目はPlanetの衛星をご紹介しました。今後より解像度の高い衛星が登場すれば、栽培されている野菜の種類や生育状況のモニタリングといったことができるかもしれません。今から楽しみです。